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文学・評論 外国の著者2
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文学・評論 外国の著者2
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文学・評論 外国の著者2
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またの名をグレイス 上


マーガレット・アトウッド
¥ 2,940 通常24時間以内に発送
★★★★

またの名をグレイス 上
19世紀半ば、16歳で殺人容疑者として投獄された実在の女性、グレイス・マークスを著者が丹念に調べあげ、不明な部分を付け足して作り上げたフィクション。前半は主にグレイスの不幸な生い立ちおよびメアリー・ウィットニーとの関係が語られる。後半はグレイスは殺人者か無実か、ファム・ファタールか純潔かという謎が医師ジョーダンとの関係を軸として展開する。 結論からいうとひとつの物語としてのオーガニックなまとまりにかける。ページターナーとして提示される数々の謎はがあっけないほど地味に落ち着き、グレイスとジョーダンはどうなるのかというサスペンスは尻切れトンボ的に放置される。カタルシスとしての「感動」の欠落が史実に忠実であることに由来するならまだしも、フィクションの部分なのでがっかりしてしまう。特にジョーダンには第二の主人公といえるほどウェイトが置かれいて、彼の視点で語られる部分も多いのに、まるで著者が彼の処分に困ってしまい、当時の歴史的な背景を考えるとこん感じかと深く考えずメインのプロットから消してしまったかのよう。 当時のカナダでの貧しい召使としてグレイスの生活の描写は面白い。お茶ひとついれるにも...

日の名残り (ハヤカワepi文庫)


カズオイシグロ
¥ 756 通常24時間以内に発送
★★★★★

日の名残り (ハヤカワep...
よく本を読むのが早いといわれるのですが、 イシグロさんの本を読むときはじっくりじっくりです。 気持ちに余裕があるとき、 でも、ハイになってないとき、 夜、ひとりで静かに読みます。 じわじわきます。違う時間が流れるかんじがします。裏表紙の説明はヘン。「輝きを増して」とかでも、古きよきイギリス、とかでもない。 自分の生き方をしっかり持って、その生き方の中では最高に近い形で生き抜いたのに、なんで全てが(全てが、である)うまくいかなかったのだろう、という思い。 父親の老いとその死に行く姿と、現在の自分との重なり。 父親の「自分はいい父親だったのだろうか」という問いは、 主人公の「自分に何の品格がありましょうか」という嘆きに重なる。 それでも前向きに生きていく。生き方を変えず。 だけど、それは作者の真意だろうか。説得力があまりにも薄い。自分には、作者が主人公を幸せにしたかっただけのように思える。格調高きイギリス貴族の大邸宅で、ひっそりと昔に思いを馳せる老執事。登場人物も決して多くはないし、彼の行動範囲も広くない。私情を挟むことなく、仕事に徹してきた人生に、時間はゆっくりと確実に過ぎて...

またの名をグレイス 下


マーガレット・アトウッド
¥ 2,940 通常24時間以内に発送

またの名をグレイス 下
・・・

わたしを離さないで


カズオイシグロ
¥ 1,890 通常24時間以内に発送
★★★★★

わたしを離さないで
過酷な運命から逃げようとせず、受け入れながら生きる主人公たちの生き方が、 なぜか不自然には感じられません。 自分では動かしようのない、既成の制度や、階級のなかでとらわれて生きている私たち自身、 本当の意味で自由な存在ではないからかもしれません。 とはいえ、最後に全てを受け入れるように見えるキャシーの生き方が、 決して受動的な消極的なものではないところにこの小説のすごさがあります。 あきらめるのではなく、限りある生を、動かしがたい条件の下であっても、 彼らが丁寧に愛しみながら自己を賭けて生きるさまが描かれているからでしょうか。 そこにこの静謐で穏やかな小説のもつ、凄みのようなものがあるように思えます。 最後の場面は、何度読み返しても、苦しいほどの感動を覚えます。 希望がなければ生きられないと思いがちですが、あらゆる希望を奪われたとしても、 ひょっとしたら幸福な記憶だけでも人は自分を支えつづけることができるのではないか、と考えさせられました。 舞台はイギリス。 主人公は「介護人」をする31才の女性、キャシー。 物語は、キャシーが過ごした学園生活を語るとい、 回想録の形になってい...

ケインとアベル 上 新潮文庫 ア 5-3


ジェフリー・アーチャー
¥ 820 通常24時間以内に発送
★★★★★

ケインとアベル 上 新潮文...
人生のドラマ、すべての喜怒哀楽が学べる貴重な1冊。 いろいろな環境の中から、人は生まれ育つ。 その中で、どのように生きたらいいのか、多くの視点と生命力が活字から伝わってくる。 運命と環境、時代に左右されながら、一生懸命に生きる2人の男、ケインとアベル。 冒険小説、ビジネス小説としても読める。 「夏目漱石のような心の内面の描写が素晴らしい」 2人の最後の再会の場面、言葉を交わすこともなく、お互いの気持ちが分かり合えたような、 そんな場面が、僕は大好きです。 この小説を、30人以上の友人・知人にプレゼントしてきました。 「おもしろかった」「一気に読んだ」との声を聴いて、とっても嬉しかった。 読む楽しさも大切です。 それ以上に、この本から、僕は学んで欲しいと心から願っています。 これからも、読み返したい大切な本です。ポーランドの片田舎で生まれたヴワデク(後のアベル)と、ボストンの名家で生まれたケインの人生を描いた大作。 おもしろかった!一気に読めました。 ヴワデクの壮絶な少年時代も、青年時代のホテルのウェイターから出世していく姿にも、 ケインの恵まれた環境と名家のプレッシャーの中...

ケインとアベル 下  新潮文庫 ア 5-4


ジェフリー・アーチャー
¥ 740 通常24時間以内に発送
★★★★★

ケインとアベル 下  ...
最後の真実が語られている手紙の部分は、全く予想していなかったので、驚いたとともに、 彼の(ここで名前は伏せておきます。)懐の深さに感動しました。途中で、暴露して鼻をあかしてやっても良かったでしょうに。それをよしとしなかったのは、プライドだけでは無かったはずです。正々堂々と戦いたかったのでしょう。最後の方では、一線を越えてしまいましたが。上巻を読破する苦労は、ここで報われます。絶対!ケインもアベルも実業家として成功していきます。 ケインとアベルの争いが、銀行やホテルや司法や家族を巻き込んでいく様もドラマチックで、次のページをめくる手が早くなります。 いろんなテーマを含んだ物語ですが、ボタンのかけちがいで、プライドのために争い続けるってことは、現実にもあるかも知れないですね。 ただ、二人の大実業家(しかもケインとアベル)が同じように大戦に兵士として参加するというくだりはなくても良かったような気はしますが。雑誌やこのサイトの評価がいいので読んでみました。 何度、途中でくじけそうになったことか。というか、282ページ目ぐらいでは途中で破り捨てたくなりました。ハイハイ、1人はすごく恵まれて、頭...

キャッツ―ポッサムおじさんの猫とつき合う法 (ちくま文庫)


T.S.エリオット ニコラスベントリー
¥ 693 通常24時間以内に発送
★★★★★

キャッツ―ポッサムおじさん...
ミュージカル「キャッツ」にこんな原作があるとはあーら、知しらなんだ知らなんだ。だけど、だけど、断然こっちのほうが明るくて面白くためになるTとSから成る大英帝国エリオットせんせのグローカル・ミュージカル、嬉しかるかる、ミュージカル。 劇団「四季」の暗く惨めなミュージカルよりはるかに面白くためになるワイのワイのワイ。そうか、オリジナルには、娼婦猫はいないんだ、ちょっぴり寂しい残念なと思いきや、元々この本はエリオットが、勤務先の同僚のくそガキども、いやいや失礼、お子様向けに書いたもの、娼婦猫なんて下品だがチョッピしうれし恥ずかし姉様猫なんてあったまるか、氷の刃。えーい、もう。 それにしてもこの本の挿絵に描かれている猫の表情、どれ一つとっても可愛い奴がいないのはなぜ? なぜ、どうしてなの? みんな、支那猫みたいに目が釣り上がっちゃってさあ、そいでもって、ふてくされているんだもんなあ。 原作は、1939年に出版された。大戦間近というか、もう既にアドルフ君あたりはどっかへ侵入していた時分、さすが大英帝国のTとSとでエリオット、余裕があるなあ。舞台だと、どうしても分かりにくい部分が出てきて...

プリズン・ストーリーズ (新潮文庫 ア 5-27)


ジェフリー・アーチャー
¥ 700 通常24時間以内に発送
★★★

プリズン・ストーリーズ (...
私は今とっても悲しい思いにとらわれています。 ジェフリー・アーチャー作品との出会いは私がまだ15歳のとき。今から30年も昔に、「大統領に知らせますか? (1978年) (新潮文庫)」というスリラー小説をたまたま手にしたときです。エドワード・ケネディがもし大統領に当選し、そして暗殺者の魔の手に狙われたら…ロナルド・レーガン(当時はまだ大統領になる前)の名まで登場するこの虚実ないまぜの小説のあまりの面白さに夢中になったものです。 続いて手にした軽妙洒脱なコンゲーム小説「百万ドルをとり返せ! (1977年) (新潮文庫)」にもすっかり魅了され、「ケインとアベル 上 新潮文庫 ア 5-3」「ロスノフスキ家の娘 (上) (新潮文庫)」「新版 大統領に知らせますか? (新潮文庫)」と一連のロスノフスキ家サーガでは、読書の愉悦にどっぷりとつかったものです。 しかし、作者アーチャーが私生活上のスキャンダルに見舞われた頃と前後して、彼の著作物はどれもかつてのワクワク感を与えてくれなくなってきました。 私が手放しで賞賛できる彼の最後の作品は「盗まれた独立宣言〈上〉 (新潮文庫)」。それ以降...

ムーン・パレス (新潮文庫)


ポール・オースター 柴田元幸 PaulAuster
¥ 740 通常24時間以内に発送
★★★★★

ムーン・パレス (新潮文庫)
非常に面白いストーリー。 おもしろい展開だけど、おかしくないか?と言うツッコミはない。 なぜだろうか。 青春は、そして人生は、多かれ少なかれ必然の偶然がある。 それを作者が絶妙にそしてパワフルに作品に送りこんだからだと思う。 そして誰もが青春をしっているから。 雨は決して降り続けることはない。 そして点と点はつながる。現代日本にとっては極めて現代的な内容である(のではないだろうか)。 とくに、耽美的であり虚無的な20代の青年には、その衝撃はかなり大きいのではないだろうか。いつか読むべき本ではなく、『今』読むべき本だと思う。この小説は初めて最後まで読めた小説だった。ポールオースターの美しい言葉や表現でドンドン見入ってしまった。やはり絶品の小説だったもう読んで何年かになるが、それでも時々思い出すのが、主人公が台所で卵を落とす場面である。おそらくオースターの実話だからだろうが、困窮する生活の中で大事な卵を落とす深刻さが本当によく書けていた。ことばから何かがイメージできるなど幻想に過ぎないが、この卵の落ち方の生々しい物質性は、その幻想を信じる気に十分させる。そういう物語。 息している限り、息...

ナショナル・ストーリー・プロジェクト



¥ 2,730 通常24時間以内に発送
★★★★★

ナショナル・ストーリー・プ...
ポール・オースターという、今最も油の乗っているユダヤ人作家と、これまた絶好調の翻訳家柴田元幸という組み合わせがいい。翻訳が間違っている、という指摘もあるが、ほうっておけばいい。「翻訳は意訳に限る」というのが国際人・現代人の真骨頂なのだから。気になるなら、オースター自身の朗読もある原文を読めばいいのだから。それにしても、アメリカ人にはいろんな人間がいるもんだ。特に「物」という章には、非常な経験、ありえない偶然、というのがいろいろ語られていて興味が尽きない。本当に、実話か?と思わず言ってしまいたいような事ばかりだが、ここは書いた本人を信じよう。日本人とのエピソードも何編かある。やはり、この前の戦争がらみが多いが・・・・それぞれのストーリーは共通のテーマに沿って分類、層立てされている。動物にまつわるものから始まり、家族、戦争、愛、そして死にまで至る内容は、それぞれのストーリーを仕上げた個人は別人ではあれ、人生において起こりうるであろう様々なイベントを追体験するかのように構成されている。 その長さは見開きで2、4ページ分くらいのものがほとんど。まれに長いものもあれば1ページだけの短いもの...

ゴッホは欺く 上巻 (1) (新潮文庫 ア 5-25)


ジェフリー・アーチャー
¥ 660 通常24時間以内に発送
★★★★

ゴッホは欺く 上巻 (1)...
読み物としては非常に面白く、本当は★を5つ付けたい。 先が読めるストーリー展開や、細かい突っ込み所も含めて、理屈ぬきで楽しめるエンターテイメント。 翻訳物ならではのウィットに富んだ会話も良いし、ゴッホや美術に関する薀蓄がそれ程しつこくないのも好感が持てる。 本書では主人公があの同時多発テロ事件に遭遇し、職場であるWTCビルの中から奇跡的に生還するのだが、 そのエピソードはただ単に主人公が姿をくらます為の道具立てに利用されているだけに過ぎず、アルカイダや中東問題とは全く関係なく話は進んでいく。 あれだけ世界に衝撃を与え、イラク戦争にまで発展した事件なので、抵抗を感じた読者もいるのではないだろうか?(特にアメリカ人は) もしも、映画化されれば絶対に渡辺謙が演じるであろうダンディーな日本人も登場するのだが、残念ながら映画化される事は無さそう。 読んでいて、「これがジェフリー・アーチャー?」と悲しくなってしまいました。 ジェフリー・アーチャーの作品はほとんど読んでいますが、この作品は詰めが甘く、イライラする展開でした。 素晴らしいストーリーテラーだったのに、こんなにつまらなくなってしまうなん...

わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)


カズオイシグロ
¥ 987 通常24時間以内に発送
★★★★★

わたしたちが孤児だったころ...
「日の名残り」「浮世の画家」に続き、私にとってイシグロ氏3作目の小説ですが一番面白く読みました(前記2作品も好きですが)。主人公の独白を基本とし、各章の小見出しだけを追えば時間の流れに沿いつつ、途中回想や過去のエピソードをふんだんに交えることでその世界に引き込まれる点は3作品とも共通していました。しかし本作品はスケールの大きさで過去2作品の比でなく、そこに大きな魅力を感じました(まあ、この点は評価の分かれる点でしょうけど)。前記2作品では「あの人はその後どうなったんだろう、あの事はどういう意味があったんだろう、もう少し詳しく解説(謎解き?)してほしい」と思ったものでしたがこの作品を読むことで、「書き過ぎない」ことがイシグロ氏のスタイルではないかと考えるようになりました。つまり「タネ証し」と「読者の想像力を刺激し続ける」こととのバランスの取り方がこの人の真骨頂なのではないでしょうか。再読すれば、1回目では読み取れなかった“仕掛け”の発見や違った読み方ができそうなので、少し時間をおいて挑戦しようと思っています。非常に不思議な読後感を味わえる小説。 主人公が成長して探偵として活躍する現在と...

鍵のかかった部屋 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)


ポール・オースター 柴田元幸 PaulAuster
¥ 998 通常24時間以内に発送
★★★★★

鍵のかかった部屋 (白水U...
「ファンショー」を「フィクション」に読み替えて、 オースターがフィクションの創作に関して何かを掴むまでのプロセスの 最終段階の物語としても読めます。特に後半、特に第8節の途中以降は 著者が書く際、「フィクションは……」などと書いて後から 「フィクション」を「ファンショー」に一括変換 したのでは?と思うぐらい(笑)そのように読むと いろいろおもしろいことを言っているので是非試してみてください。本書はThe New York Trilogyの最終話だ。 この3部作は何れもある人物に関わる謎を探ることを目的とする推理小説のような体裁を取っているが、読み進めるにつれて実は謎を追い求める主人公の内面の変化がテーマになっていることに気がつく。 主人公は最初は職務としてターゲットとなる人物を尾行したり、過去を調べたりするのだが、次第にターゲットと自己との境目が曖昧になり、謎を探る行為は職務ではなくそれ自体が自己の存在意義と化していく。 外面からは安定しているように見える人間の心に潜む危さや脆さが見事に描き出されており、楽しく読める作品ではない。だが最近のポール・オースターの円熟した作品とは異...

百万ドルをとり返せ! (新潮文庫)


J・アーチャー 永井淳
¥ 660 通常24時間以内に発送
★★★★★

百万ドルをとり返せ! (新...
アングロサクソン特有のコン・ゲーム。アーチャーの本邦初登場のこのドラマは、アーチャー自身が"えげれす国女王陛下の国会議員"ということもあって結構評判になり、私自身もそこそこ楽しんだものだ。その後、アーチャーの国会議員としての様々なスキャンダルがあったりして、実際に刑務所を出たり入ったりしてなかなか私生活もお盛んな所を見せてくれたものだ。 しかし、このドラマの面白さは、作者の刑務所暮らし云々がどうのこうのではなく、文字通り内容が面白ければ「それでいい!」のだから、これでいいのだ。 コン・ゲームの快感、騙し騙され振り振られるのは世の常、人の常である。読者も、騙される快感を味わっていただきたい。 英国の作家ジェフリー・アーチャーの処女作。 自分自身が株で大損した体験を元にこれを書き一躍ベストセラー作家となった記念すべき作品。 ************************** アメリカの貧しいポーランド移民の家に生まれた少年はやがてメッセンジャー・ボーイから大富豪へとのし上がっていく。時には「非合法な手段」で。 そして彼、ハーヴェイ・メトカルフェは英国に石油...

ゴッホは欺く 下巻


ジェフリー・アーチャー
¥ 660 通常24時間以内に発送
★★★★

ゴッホは欺く 下巻
なんか予定調和的だし、英国TVドラマ風な イメージがわいてきて仕方なかったです。 暗殺者とFBIと富豪と・・登場人物と場面が次々と展開 されて、下巻は、かなりお話の転換のスピードがあがって、 最後はハッピーエンド。 娯楽小説、娯楽映画としては一級品。 読み出したらとまらないけど、どっかで見た(読んだ)感覚 もにぬぐえません。 NYの銀行家フェンストンは美術品コレクターに返済不能な貸付をしては、最終的にその蒐集品を手に入れることを常としていた。彼のもとで働く美術コンサルタントのアンナはそんな彼の所業にうんざりして、債務者である英国貴族ウェントワース家の女主人ヴィクトリアの側に立った返済計画を立てる。しかしその計画が実行される前に、ヴィクトリアが惨殺されてしまう…。 ジェフリー・アーチャーが「十一番目の戒律」に続いて放つノン・ストップ・スリラーです。「十一番目の戒律」の仕上がりは私の期待したほどではなかったのですが、本書はアーチャーらしい、巻措く能わざる一冊といえる面白さでした。一気呵成に読みました。 二転三転するストーリー展開や、主人公アンナがあまたの危難をギリギリで脱する...

ガラスの動物園 (新潮文庫)


テネシーウィリアムズ
¥ 460 通常24時間以内に発送
★★★★★

ガラスの動物園 (新潮文庫)
テネシー・ウイリアムズを一躍有名にした本作は色々な劇団によって演じられているそうですが劇という演出家の観念で作った物を見る前に是非とも原作を読んでイマジネーションを広げて欲しいと思いました。 語り手であるトム、過去の栄光が忘れられない母アマンダ、ガラスのように繊細な心の持ち主である姉ローラ。 作者が一番訴えたかったのはローラの人生なんだと思います。 繊細すぎ、傷つきやすいがために人生とうまく折り合いをつけられない姉。 姉の日常においてできることは彼女のコレクションのガラスの動物たちを世話することと、古い1枚のレコードを聞くこと。 ガラスの動物たちは彼女の心の反映であり、小さくて壊れやすいのです。 それは作者の実在する姉であるローズがモデルであることは明かです。 両親にロボトミー手術を受けさせられ、廃人になってしまった姉。 それを止められなかった作者は終生悔恨の情に溺れ、名声とは裏腹に私生活は荒れていたと言います。 そんな作者の魂の吐露が切実なまでに我々に訴えてきます。誰の胸にも、家族という重いしこりが居座っている。その急所をテネシー・ウィリアムズが直撃する。読み出したら止まらない。 ...

幽霊たち (新潮文庫)


ポール・オースター 柴田元幸 PaulAuster
¥ 420 通常24時間以内に発送
★★★★

幽霊たち (新潮文庫)
ある人物ホワイトにブラックの調査を依頼された探偵ブルーですが、そのブラックの日常に何も変わったことは起こらず、読者がひたすら追うのは結局ブルーの内面や行動であることがとてもユニーク。ブルーが父親との思い出など過去を思い出したりする場面、自分からアクションを起こしたり相手と対峙する場面、また、あれこれ思いに耽ったりなどの描写のいくつかは、とても興味深かったです。中にはちょっとなかなかお目にかかれないような表現があったりして。 大都会に生息する作家ならではの視点が感じられましたし、登場人物の名称が色の名前であることがこの本の内容を実体の無い幽霊のようなものにしているに見えて、普遍化もしているように思えました。 ブルーが自分と向き合っている時、読者もブルーに成り代わりブルーの内面と向き合う。自分自身について考えるとはナンだろうか?改めて読者もここで自分に問いかけるのでしょう。もう考えれば考えるほどわからなくなりそうな・・・ 原文の文章は短めで独特のリズムというか乾いた調子があります。ブルーの自問自答の様子とか相手との対話の場面などにおいては、読んでいて思わずしらずその独特のリズムに乗せられ...

うたかたの日々 (ハヤカワepi文庫)


ボリスヴィアン
¥ 630 通常24時間以内に発送
★★★★

うたかたの日々 (ハヤカワ...
最後のページをめくるまでコランとクロエのしあわせを願い続けた。 もちろんシックとアリーズ、ニコラとイジスのしあわせも合わせてだ。 おっと!ハツカネズミくんも忘れちゃいけない。まぁ、忘れるわけもないけれど・・・ 読み終えると沸々と怒りがこみあげ、作者であるボリス・ヴィアンに憎しみすら覚えた。 「愛ゆえに」 それに気付いたのは読み終えてから2日目のことだった。読む人を選ぶ作品だと思う。 「ライターに太陽の光を数適たらしこむ」。 こんな表現にピンと来れば読むのをおすすめするし、意味不明と思うなら読まない方がいいかもしれない。 世界はことごとくいかれていて、残酷な童話のようだ。 すぐ人は死ぬし、死に方もいちいち異常。 むしろ主人公6人だけが普通というか、世界にそぐわない純粋さを持っている。 それが「若者」であり、「青春」ということだろうか。 掛詞や造語などの言葉遊びがこの作品の魅力のひとつでもあるのだが、原書で読めない日本人にとっては、どうしても分からないニュアンスがある。 「我輩は猫である」が「I am a cat」になると、妙に脱力してしまうのと一緒で。 本当はもっとおもしろいんだ...

ロスノフスキ家の娘 (下) (新潮文庫)


ジェフリー・アーチャー 永井淳
¥ 620¥ 1,000
★★★★★

ロスノフスキ家の娘 (下)...
上巻は殆ど「ケインとアベル」内でのフロレンティナだから、新たな要素が加わっただけ。下巻はオリジナルなので楽しみにしていたが。 出足はまずまず面白かった。ある程度やるべきことをやって目的が無くなったところで、下院議員に立候補する。そういう新たな目標を見つけ努力する様子が描かれている。下巻のその前半部分は面白かった。一筋縄にはいかない。そう言ったリアリティや、雰囲気作りも臨場感がある。しかし中盤の盛り上がりが薄かった。あまり印象に残っていない。そのままズルズルいってしまうかとも思ったが終盤でまた盛り返してくれた。 なんとも言えない。面白くはある。常に日々との戦いで、当選する為に人の私事を集める努力は当然の如く惜しまず、努力する日々。淡々としたテンポではあるが刻々と描かれている。心理描写が中盤薄かったように思うし時期が分かりづらかった。個人的にかもしれないが。 前作「ケインとアベル」は読んでおいて欲しい。そうでないとこの小説の楽しみは半減すると思う。星4つはやや過大評価だったかもしれない。評価しづらかった中盤があったのが残念だが、トータルで見るとまずまず。下巻は、単に仕事の成功だけでなく...

ホテル・ニューハンプシャー〈上〉


中野圭二 ジョンアーヴィング
¥ 740 通常24時間以内に発送
★★★★★

ホテル・ニューハンプシャー...
痛烈なエピソードが満載で、一つ一つのエピソードはそれなりに楽しめましたが、登場人物のキャラクターに一貫性がなく、支離滅裂の印象を受けました。小説に出てくるスランプ時のリリーに対する批判がそのまま当てはまります。全体的なストーリーがありません。特にバーベル上げしか能がなく、精神的な成長もない主人公には落胆させられました。作家の角田光代さんが、「人間のあらゆる感情を内包した小説」と賛嘆していたが、そのとおりだと思う。レズビアン、革命家、障害者などなどひとクセもふたクセもある人々が集まる家族と、その家族の経営するホテル。あらゆる感情とは、喜び、運命にもてあそばれる人間の切なさ、気持ちが届かない哀しみ、哀しみの先にある嬉しさ、憎しみなどなど。描ききれない。こうした人々の関わり合いを、日本の小説の多くは因果関係で書いてしまうが、これは「感情」で結びつけている。村上春樹もそのような書き方をしていた一時期があったと思う(「ダンスダンスダンス」など)。でもスケールの大きさで私はこちらに軍配。やられました。この文庫版は廉価ですが装丁もとても素敵ですし、中味によく合っていると思います。 それぞれ問題を抱...